『ホントの話』 呉智英 小学館 評価B 要再読B

 <概要>
 五部に別れていてそれぞれ「人権と民主主義について」・「ナショナリズムについて」・「民族差別について」・「現代人の愛について」・「教育とマスコミについて」
 「人権と民主主義について」では投票・死刑・いじめなどを例にとり、人権と民主主義が単なるイデオロギーにすぎないこと、それが限界に来ていることが語られる。
 「ナショナリズムについて」は戦争教育・国歌と国旗・漫画と日本語と神話を扱う。戦争教育では理念の再検討、事実関係の解明、戦争責任について。国歌国旗は趣味ではないらしい。最後三つは誇れるものらしい。
 「民族差別について」は支那という名称について。最後の討論はいらん。
 「現代人の愛について」は猫至上主義者とか聖書本来の四つの愛について等。
 「教育とマスコミについて」は教師・マスコミに対して、職業道徳の必要と世間知の素晴らしさ説く。

 感想。
 呉智英の入門書みたいな感じ。特に、人権論とかは『危険な思想家』とかなり被っている気がする。ただ、わかりやすいし非常によみやすいし、書かれていることは刺激的。ここまで人権、民主主義イデオロギーが嫌いな人も珍しいというか。
 これは呉智英の本全体にいえることだと思うけれど、考え方がとても参考になる気がする。現在人々が意識せずにいる前提に焦点を当てさせて、現実的な観点から物事を見る。あんまり難解じゃない。
 ――ただ、どうやって自分の前提に気がつくか、というのが問題なのかもなぁ。昔の予備校の先生が語っていたマルクスの凄さは問題設定だ、という言葉をなんとなく思い出す。