『グロテスク』桐野夏生
東電OL事件にインスパイアされた作品。過去読んだ中でも、最も気持ち悪い作品の一つ。美しさ対する引け目を感じる「わたし」。周りから認められたい和恵。一番を目指し続けるミツル。どこにでもある資質を突き詰めて、歪んだ人々の悲劇。
この作品が怖く感じられるのは、自分に引け目があるから。全く彼女らに共感できる部分が無ければ、違う世界で気持ち悪いと感じるか、あるいは喜劇として笑い飛ばせるかもしれない。でも、そういう人がどれだけいるんだろう?
この作品でも中心に扱われているけれども、教育というのは大事なのかもしれない。はじめの角度が少し違うと、たどり着く場所は全く違う。ノルウェイの森のレイコさんの言葉を思い出す。
「若い頃に歪むと苦労するのよ」
一応注釈すると、偏差値良けりゃいいって話ではないです。当たり前だけど。