『憲法対論 〜転換期を生き抜く力』 宮台真司・奥平康弘 平凡社新書 評価A 再読AA

 <概要>
 俺がなんか書くより、
 http://www.t3.rim.or.jp/~hazuma/texts/miyadai.html
 を参考にした方がよさげ。
 東浩紀がうまくまとめてる。

 <感想>
 かなりイイ! という奴。
 自分が宮台真司に引かれるのは『終りなき日常を生きろ!』に代表されるようなまったりなところというよりも、非常に高い分析能力&説明能力を持ち、メディアに最も露出している社会学者であり、自分の考えの下地に常に社会システム理論をおいて考えていると広言している部分にある。要するに、浅羽通明とならび、「こういう分析してみたいなぁ」というモデルの一つ、ということ。
 けれども、モデルとして使うにはいまいち使いにくい部分が多い。浅羽通明のように自らの知識のありようを主題化して本を書いていないので、どこをどーパクればいいやらさっぱりわからないのだ。システム社会学の本を裏で読んでも「こりゃ、時間かかるな……」と苦笑いが浮かぶし。
 そんななかでこの本は宮台のスタンスをわかりやすく伝えてくれている気がする。要再読と書いたのはそのため。下の『自由な〜』のような答えのずらし方をせずに、ストレートに自らの立場を語っている。
 つか、宮台を読み直す週間は絶対やったほうがいいな――全部読んだ後に。浅羽並に使える人だ、この人。

 覚え書きを二点。
 1、本を読むのは、自らのリソースの拡大を目指すべき。
 例えば、リベラリズムという考え方から、自らが共同体を選べる制度の中にいること、それゆえに、想像以上に選択肢は広がっていること、自分で努力すればそのどれかに所属して、何かを見ることが出来るだろう、ということを導ける。これは意識的に認識しないと、手のひらから零れ落ちてしまうんじゃないだろうか。
 そのためには、本の内容を一言二言で要約するべきなのかもしれない。ただ、それでは一部しかつかめていないのだろうけれども。
 2、グランドセオリーとなる理論を積んでも、それと同じくらいにそれぞれのジャンルに精通しなくてはならない。
 当たり前なんだけれども。
 宮台はなんでこれほどまでに様々なジャンルに詳しいのだろうか。おかしいよこのひと。本読みすぎ。あーあ。俺も色々読まんとなぁ。近代の三巨頭とやらも読んでみたいもんだ。