『大月隆寛の大問答!』大月隆寛 時事通信社 評価B 再読D

 <概要>
 「市民サマ」代表の若者と大月が時事について語り合う、という内容。年代的には95〜97の間。話題は様々。

 感想。
 上の『ニセ学生マニュアル死闘編』もそうなんだけど、なんとも言えず内容がまとめにくくて困るといえば困る。こういう本はじわじわと効いて来てくれるのを期待するのだけれども、どうなんだろう。難しい。
 とりあえず、俺は大月隆寛を適当に一冊読んでみっかぁ、といういい加減な気持ちで手に取ったんだけど、そのつかい方としては非常に良かった。呉智英の弟子で、浅羽通明の友人という評価通りの人だなぁ、という印象を受けた。知のおたく批判に、自明でない部分を挑発的な物言いで自覚させる手法、さらにプラグマティズム。これは考え方の参考になりそう。
 後思ったのは、「考える方法」みたいなものを身に付けたいときに、この手の問答本は役に立ちやすいのかもしれないと思った。宮台真司の『学校的日常を生き抜け』も他の著作よりも考え方がわかりやすい気がしたし。
 抜書きとしては「俺が言うのはそこに書かれてある事が知識としてお勉強の対象になるってことより、むしろそこから広がってより本質的な問いを引き出す触媒になりうるって意味での評価なんだよ」と「何でそういう過程がありえてきたのだろうか、という問いのほうまで引き出せるように読んでゆく、それがこのテの新書的知識整理をより豊かな触媒として使いまわすための条件だな」をここに残しておこっと。ただ、これをやるには前提知識も知恵も考える枠組みも足りないけど。