『世界の中心で、愛を叫ぶ』

 軽やかにネタバレしつつ。
 本はともかく、映画は『GO』の監督だから、そこそこは面白いんじゃないかという期待&やっぱりネタになるものみとかないとねー、という精神で見ました。
 とりあえず世界の中心で、叫んでいませんでした。叫んだの空港だけじゃん。「誰と叫びますか」とかテレビ番組作ってる場合じゃなかとです!
 ていうか、ダメでした。がーん。深夜の四時まで見たのにー。これなら『ジョゼと虎と魚達』の方が数倍いい。ていうか、『ジョゼ』のコメンタリーみたいが、返却明日じゃん! とか困る。明日君がいなきゃ困る。いてもこまる。
 話もどして。
 何がダメって、過去パートはベタ過ぎてどうしようもないです。わりとアキがかわいいのはおいしかったり、佐野元春が微妙に好きだと『SOMEDAY』の入り方が凄く気持ちよかったりするんですが、イマイチ。一番輝いているのは、さりげなく一番有名な空港の叫ぶシーンの前の「ねぇ、私まだ生きてるよ」というシーンの残酷さなんですが、あれが、エグいシーンだというのはみんな思っているのだろうか。適当に見てたので、もしかしたら、違う台詞だったかもしれませんが。生きている人を死んだものと接するエグさみたいなのは、栞SSとかの肥やしがなければ気がつかんかったかもしれん。てか、類似のを他のどこかで見た気もするけど。
 で、現在パートはわりと好きで、一番この映画で好きなシーンが体育館で電話をかけて、「はぁ、なんでお前アキのこと思い出してるんだよ」とか言われているあたりなのですが、そこでの「忘れられない思いをどうするか」みたいなのを全然解消しないまま突然「どこが世界の中心かわかったよ」とか言われても困るのです。てゆーか、お前何の解決にもなってねーじゃねーか。後片付けじゃねーよ。

 なんていうか、本を映画化して、映画独自の路線を出そうとしつつも、時間切れ、みたいな。ダメやなぁ。もっと本部分を削って、現在パートメインにしたら面白かったのに。売れなかっただろうけど。