痴漢の哀しみ

 はじめに。女の人、怒らないでください。
 満員電車に痴漢が出てくるという話はよく聞くのだけれども、考えてみればこれは不幸な痴漢なのかも知れない。満員電車において、痴漢はたしかにやりやすいだろう。込んでるから手が下のほうにあってもそんなに怪しまれないというか見えないし、相手に逃げられることもない。けれども、その混んでいるということは痴漢において完全にプラスに転じるかといえばそういうこともないと思う。彼らは、動けない。満員電車だから。
 こんな想定をしてみる。もしも、痴漢がちょっと離れたところにすごくタイプの美人がいたとする。手を伸ばせば、何とか届きそう。伸ばしてみる。だめだ。届かない。悔しがる痴漢。けれども、そのまま時間は流れ、女性は降りてしまい、そのまま二度と会わずじまい。
 嗚呼。満員電車の痴漢の哀れよ。
 ――まぁ、そもそも触るなという話なんだけど。もちろん、痴漢は犯罪です。やっちゃだめですよ? 竹さん?
 ただまぁ、こうやって考えてみると、痴漢が触っている人というのはもしかしたら「うわー、すげー美人いるよ。さわりてー。でもとどかねー。なんだよ。しゃーねーからこいつにでもさわるか」みたいなものなのかもしれない。
 すごく失礼な話だよなぁ。