『最後の物たちの国で』

 宏方さんのJUNKの中で紹介されていたhttp://media.excite.co.jp/book/presents/miura/を読んで、なんとなく柴田元幸、及び彼が良く訳すらしいポール・オースターの作品に興味をもって借りてきたのですが――大当たり。これからポール・オースターはかなり読もうと思います。
 「これらは最後の物たちです」という書き出しからはじまるこの物語は、現実には存在しない国を舞台にしています。スラムのような、余裕のない国。すべてのものが終りへ向かい、そしてそれが巻き戻ることのない、最後の物たちの国。そこに足を踏み入れたアンナという少女の生活を描いたのがこの小説です。
 この世界では、全てのものが終わっていきます。人間は、むろん死んでいきます。記憶ですら、その例外となりえません。そのなかで、人々はそれに抗う力もなく、その世界の中で泥のように生きています。外の世界からやってきた主人公と新聞記者の男、理想を持った医者の娘、はじめはその人々とは違う風に生きていた人々も、ゆっくりとその泥のような世界に飲み込まれて、いきます。
 ――うーん、紹介すんの下手ですし、感想を書くのも下手なんで巧く言えないですけど、これはかなり自分のツボにははまりました。万人にお勧めできないですけど、気が向いたら手にとって見ると面白いかもしれません。