流通の話。

 今日、問屋の工場でバイトしてきた。出版社と本屋の間を受け持つ所で、出版社から送られてきた本を整理して、本屋に発送する形にする。時給はそこそこ。当たり前の話だけど、肉体労働。基本的にこの手のバイトは世間勉強のつもりで行ってる。今回もその一つで、そこそこ意味があった気がする。
 一つは本ってものだよな、っていう当たり前のことを認識したこと。本は手荒に扱っちゃいけないとか、本に線とか引いちゃいけないとか、果ては本には妖怪が宿るとか、そう言うことを思っている人は一度問屋の工場でバイトしてみるといいかもしれない。結構ショッキング。本なんて、積む際にどうやって積めるかが一番重要で、たくさんあると重いんだよチクショウ、みたいな愚痴を自分がこぼしているのは珍しくてしょうがない。キャラ違いすぎ。写真集とか攻略本とかには殺意が沸いた。辞書は踏み潰したいとその場かぎりの同僚は言った。同感。
 もう一つは、大月隆寛の言葉を実感した、ということになるだろうか。物書きで虚業といっているやつが気に食わない。流通とか、本屋とかそこらへん考えたら実業じゃねーか、というもの。これはこんな風にパラフレーズできるかもしれない。モノ書きも商品を作っているという意味においては、農業とかとたいしてかわらない。これは、二つの観点から眺められる。モノ書きを尊敬しすぎんなというのと、モノ書きを貶しすぎるな、ということだ。正しい視点とか、そういうことじゃなくて、単にそういう見方もできる、ということだけどさ。
 あとはあれ。肉体労働者にならないように努力せんとあかんなーということ。わり悪すぎ。もうちっと大学中にはやるべきだろうけど。