消滅


 テキスト系のサイト巡り。昔は、笑いを誘うサイトを見ていたが、最近はもっぱら哲学臭の漂う場所をまわるようになっていた。そこではシジェクの言葉が祭り上げられ、サブカルへの偏った思いが噴出し、幾人かの書店で見る名前が汚れの対象となる。哲学は右脳で生まれると確信する。IEを幾つも開き、次々とリンクを展開させ、次から次に海を流れていく。思考は流されていく。
 モニター上に、ボックスが表示された。長々と書いてあるが、内容は読む必要はない。一つのIEを強制終了する。つまり、ダウンロードした情報を見ることは出来ない。それだけだ。もう一度開けばいい。
 そう思い、マウスをIEのアイコンにあわせた時、再びボックスが表示された。また一つのIEが消えた。いらつきながら、もう一度開こうとしても、処理速度が落ちている。開かない。そのうちに、突然モニターが光を失った。停電ではない。天井の灯りはまだついている。いや、今消えた。
 背後に轟音。廊下に出てみると、砕かれた木片が地面に転がり、天井は高くなっていた。上を見ると、一部分だけに穴が開いているようだった。それを確認して、視線を戻した所で木片が消えていることに気がついた。驚いていると、再び轟音。何かが落ちていて、天井の穴は広がっていて、もう一度見ると床の上にはゴミ一つない。数回それを繰り返すと、夜空が見えるようになっていた。星一つなかった。
 さらさら、という音が周り中から聞こえてくる。今度は確認する必要もない。壁がだんだん消えていっている。音は俺に砂時計を思い出させる。時間と乾いた音は平行しる。定時になると、音は止まり、砂時計の中の時は止まる。
 壁が消えた向こう側には何も存在していなかった。俺が先ほどの木片のように落ちて行かないのは、この床の下には何もないからだと気がついた。
 崩壊は迫ってきた。それは地面を伝い、俺の足にまで達した。痛みも悲しみもなく、俺の足は崩れていく。腰に達した。腹がやられた。もう上半身は残っていない。首もやられた。
 喉に達した。目が消えた。頭のてっぺんまで、もう俺は残っていない。



 なら、俺は誰だ?

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 突発的投げやり文章。まぁ、こんぺ作よりはいいでき(w