SSの書き方

 発端のサイトをちらりと見てみたらそれなりに文脈あるみたいですけど、無視の方向で。今のだるだるの盛り上がりが好きだ。
 俺の作品で、人に知られているものは四つだと思います。自殺日和とこんぺ三作品。
 で『自殺日和』にかんしては一気書きです。そうとしか表現できないです。
 その日の電車の帰り道で、なんとなく構想を得て、帰り道で熟成させて、家に帰ったら猛スピードで書き上げました。構想30分、執筆2時間半とかじゃないかな。推敲もほとんどしていません――というか、推敲力がとてつもなく低い人なので、実はほとんどの作品でやってないです。
 コレは本当に降りてきた作品でした。ただ、あの当時鬱々としていたので、ある程度蓄積があったから、一気書き出来たし、そもそもあのネタが降りてきたんじゃないか、というのはあります。
 
 その他は一応わりと共通したステップを踏んでいます。
 
 ①大まかなテーマが決まる
   ↓
 ②キャラクターとネタと書き方を妄想する&寝かす
 (a,キャラ・ネタ・書き方のセットを作る)
  (b,そのセットの中から一つを選択する)
   ↓
 ③書き始める
   ↓
 ④推敲(ほんの少し)
 
 この以前の段階として、作品を書くにいたる動機というところから書き始めている方が多いですが、俺の場合この三つはこんぺで、こんぺ以外だとマトモな作品かいてないので省略。
 ちょっとづつ補足。
 ①
 俺は基本的にテーマから話を考えます。これが出てくるのは色々ですが、基本的に本を読んでそこから得られた情報から組み立てていることが多いです。『風吹さいくりんぐ』は脳内栞の考え方みたいなのを書きたかった作品なのですが、種本宮台でした。実は。恥ずかしい告白ですが。あとエッセンスとして、大槻ケンヂかな。
 ただ、ここで決めたテーマが完遂されるかどうか、というとわりと微妙だったりします。実は『世界の果てという名の雑貨店』も脳内栞を書こうと思って書き始めた作品だった気がしますが、終わってみれば佐祐理さん話になっていました。①・②のプロセスは平行していますが、全体的に見れば、①・②の順番で進んでいます。
 
 ②キャラクターとネタと書き方を妄想する&寝かす
 で、テーマを決めたら、それを書ける話がどんなものがあるのかを考えます。というか頭の中に浮かんできたりします。例えば風吹ならば先に出てきたのは「佐祐理さんが祐一を殺して、でも栞がそれを許す」というものでした。栞の許しを通して、思想とゆーか生き方とゆーかを書こうと思ったわけです。
 で、ぼーっとそれを考えているうちに「手紙の交換形式は面白いんじゃないか」と思いつきました。多分コレの着想はフランス系の古い小説でそういうのが一世を風靡した時期が合ったという情報をどっかから入手したためだと思います。
 そう考えていくとラストシーンだけ、実際に会って風景などを入れるとモノクロに色が入る感じでかっけーだろーなーとか思いついて、ラストシーンは二人で会うところだろう、という風に進んでいきます。そこに栞の揺らぎっぽいのを入れると、現実味が出ていいかな、とか発想していきます。
 結局このプロットは廃棄するんですが、理由はあまりにコレまでと異質な文体であるため、一ヶ月後に控えたこんぺにゃ間に合わないだろう、というものだった気がします。単純にかけなかったので。
 それで別のプロットを同じテーマで考え始めます。a.bと但し書きっぽくつけたのはわりとここが珍しそうだからつけてみました。
 で、他にネタはないか、と考えたときに昔考えていた「夏休み、北川が妹の墓参りに自転車で行く」というネタを思い出しました。このネタは「香里シナリオ中、祐一の知らないところで、香里を北川が励ましていた」というわりと良くあるネタとセットだったんですが、こんぺ的に容量が足りないのでそっちは潔くカット。そして、「旅行に栞が一緒に行く理由を考えないといけなかったんですが、そこらへんはごまかすしかないな」とか「栞は女の子だし、一回電話するシーンが必要だけど、どう使うか。そうだ、香里萌えだ」とか妄想を広げていきます。
 そうやって、書きたいシーンがある程度固めていきます。この段階のことを寝かす段階とよんでいます。
 自分的には、この段階をどれくらい充実させられるかが一番の勝負だったりします。ここでどれだけテーマに繋がっていて、かついい感じのネタが出てくるか。たぶん、一番楽しいのもこの段階ですね。ぼんやりと電車の中でネタを考えて、時々脳内でキャラの掛け合いが浮かぶレベルまで妄想がヒートアップするのは楽しいです。半年に一回くらいしかないですが。
 ついでに言えば、電車の中で考えたネタをメモったりしないので、考えた橋から忘れていきます。たぶん、ワンシーン出来上がったのに、一行くらいしか覚えていないという感じだと思います。ただ、そういう熟成作業を行った上で書くのと、まっさらな状態で書くのだとネタの豊富さが違う気がします。
 がーっとそのSSについてのマトメみたいなのを書くこともありますが、それも大体一部しか利用しないですし。捨てれるだけの数のネタが出来れば、準備OKです
 
 ③書く
 上で考えたシーンをチェックポイントのようにしながら書いていきます。で、このとき、ちゃんとネタが準備されていれば、チェックポイントが増えて「書かないといけない&書きたいシーン」が増えて安定して書くことが出来ます。が、もしも出したネタの量が少なかった場合は苦しいことになります。その苦しかった例が『早く昔になればいい』でしょうか。あれは書き出した段階で、高柳の設定と不倫とラストシーンと背景くらいしかネタが無かったので、書いていて散々苦労しました。ネタを考えるのと書くのを平行してやっているようなものです。書きながら苦し紛れに時間を流してみたり、高校時代の場所を訪れさせてみたりしましたが、いや、辛かったです。
 それに対して『風吹さいくりんぐ』なんかは経過点が分かっていたので、わりとすんなりと進みました。レースとか、ガリガリ君とかの小ネタは書きながら思いついたもので、ああいうのはあんまり準備しません。ただ、たぶん、忘れたネタを思い出して、再利用してたりすることはあるのだと思います。サイクリング・レースは意識して秋山調をパクろうとしてました。
 あー、あと書いている間に出来るだけ一回使ったネタが意味が出てくるように調整はしてます。『早く昔』の近くの主婦のネタとかは苦し紛れに書きましたが、あとでそれを使うことで伏線にしちゃうことができて、話すの緊密性というか、そういうのが増す気がします。わりとコレはお勧めのテクニックかも。
 
 ④推敲
 ほとんどしない、というのが実情です。誤字多いんだろうなぁ。
 一番しっかりと推敲しているのは実は書き始める前に、昨日まで書いていた部分に手を加えているところじゃないかなぁ、とすら思います。一応書き始めるときは前日の文章を全部読んで、雰囲気を思い出すようにしてます。
 頭から尻尾まで順番に書くことしか出来ない人間なので、たとえ『雑貨店』のようなヴォネガットスタイルであったとしても、そういう風に書いているんですよね。そうすると、途中で一箇所だけを直してもどうしても気に入らないことが多いです。
 ので、一番多い書き直しは実はラストの部分だったりします。『早く昔』も『風吹』もラスト部分は書き直しました。どうしてもラストが苦手という自分の能力も影響しているところですが。
 あと、姉に見せて修正点を教えてもらい(大体ラストですけど)で、そこを直してダメだしされて、あきらめて、終わりです。
 うpってからの修正とかもめんどいのでほとんどしません。
 
 こんな感じかな?

 せいるさんにどういう風に名づけられるのかが楽しみです(笑