『ショーシャンクの空に』

 わりとネタバレ。
 様々なところで異様に評判が高い映画なので見てみましたが……、うーん、そんなにこれに感動するのだろうか? というのが正直な感想だったり。
 いい映画です。それは確かです。じっちゃん(名前忘れた)の淡々とつづられる寂しさといい、盗みのにーちゃん(名前忘れた)のいじらしさ、合格するシーンの喜び、そしてその最期のむなしさ。どれも確かにほへー、となるものです。刑務所長(?)のいやらしさを最期に反転させるだけのカタルシスも備えています。ナイスです。
 でも――これに素直に感動できるほど、頑張ってないんですよね、俺。
 ここでは希望とか自由とかが賞賛されています。でも、それは素直な形ではありません。希望も自由も完全に押しつぶされる刑務所という場で、それでも抱き続けられるだけの強さを伴ったものです。そして、 一度その両者を手放してしまったなら、心は刑務所にとらわれ、それはもう二度と手元には帰ってこないという残酷さを持っていることも描かれています。その刑務所からただ一人抜け出せた主人公は、常に希望を持ち続け、自由を求め続け、そのために行動し続けています。殴られる恐怖よりも、心の豊かさを思い出させる音楽を。6年間、週に二度づつ手紙を書き続ける。19年間*1ひたすら穴を掘り続ける――。どれも、恐ろしいほどの心の強さです。それほどまでにして抱かないと、つぶされてしまうような希望と自由への渇望。
 翻って自分をみりゃ、そんなもんはとても無理なわけです。すぐに適応しちゃうでしょうね。
 うーん……。
 いい映画ですけど、ちと俺には重いです。アーなにもやるべきことしてねーなぁ、という反省が胸を締め付けます。くぅ。

*1:ぴったりかどうかは作品からは読み取れませんが