『天使はこの森でバスを降りた』・『クレイマー×2』

 あれ? なんかもう一本見た気もするんだが……。
 『天使』は知り合いからの評判。『クレイマ』はたまたまテレビでやっていたのを大昔に録画。
 『天使』は端的に言えば駄目――というか、もう一歩ほしい。
 どんなジャンルの作品にも言えると思うのだけれども、何か一点がぬきんでていれば楽しめると思う。例えば、素晴らしい描写であったり、テーマが目新しかったり、女の子がすげーかわいかったり、設定が面白かったり。
 『天使』はどれも今ひとつ。出てくる風景は美しいし、子を失った親二人という設定も目新しい、女の子もソコソコかわいい。でも、どれも決定的ではない。それに加えて、テーマの解決がべたすぎ。落ちは大事だよ、とりあえず。べたもいいけど、それはべたでいいほどほかがよければの話だよ。
 『クレイマー×2』はその点、さすがにアカデミー賞。設定は陳腐*1だけれども、描写がいい。最後の当たりのフレンチトースト焼いてるシーンはわりと泣けるし、裁判の時の弁護士の台詞はどれもエグくて素敵。
 ただこっちも落ちがいまいちなんだよなぁ。というか、テーマ的にラストに夫婦が和解して、仲良く暮らしましたというシーンを入れるとすっきりする気がするんだけど、そーするとそれはそれで問題がおきてしまう、だからその間のところでお茶を濁しましょう、みたいなのがちょっと見えたのが残念だった。ただまぁ、現実は続くんだからしょうがないのかもしれない。そんなに世の中うまくいかないよね。そういう意味では、逆にいいのかな。

*1:僕と彼女と彼女の生きる道』と同じですね。ただ、『クレイマー』が先駆者だったという可能性は捨てきれないけど、そこらへんは映画史とか知らんからなんとも言えん。