『LOVE LETTER』

 岩井俊二。私的には四本目の作品。
 岩井俊二にしちゃあ、絵へのこだわりが少ないなぁ、と思いますが、これはこれで中々。なんつーか、一般受けを最大限に狙った作品という気がします。リアル友人の「北野武の『座頭市』みたいなもん」という説明に思いっきり肯きます。難解な部分を出来るだけ減らし、台詞も深みを削る代わりに平易に、感情は恋愛を基調にして同感を得られるように――、でもやっぱり岩井俊二なんですよね。細部の台詞まわしとかが、すごく心に染みることがあります。「中学生に嫉妬してるなんて変ですよね」「変よ」というあたりのくだりは、なんだかすごく切なかった。
 ラストシーンとエピローグに関しては、わりと発散させすぎな気がしましたが、そういう話なのかもしれません。月9っぽい恋愛ハッピーストーリーじゃなくて、色々ごちゃごちゃあって、誤解もあって、それでも世の中流れてく、っていう。当たり前のことですけど、それを描いて、読者が不満を抱かないようにごまかすっていうのはかなりのレベルがいるような。
 何はともあれ、結構好き。まー、スワロウテイルとかリリィシュシュのほうががつんとは来ますが。
 一般人に勧めるならこれかな。