『ハイペリオンの没落』

 とんでもない本でした。なんつーか、読書なれしてない人には全力でお勧めできない感じ。逆に読書なれてしてて、ちょっと衒学趣味な人にはかなりいけると思います。
 人類全体の滅亡の危機、AIと人類との対立、神の概念――そんなどでかいスケールの中に様々な人物が現れ、また消えて、また現れ……読んでて眩暈がしました。正直、30%くらいしか理解できてないかも。神の概念あたりはキリスト教的な素養か、じっくり考えながら読む能力かどっちかが必要だと思います。どっちもない俺にはかなり厳しかった。
 しかし、そのあたりを差し引いても、これは名作です。人間ドラマあるいはエンターテイメントとしてもかなり楽しめます。CEOグラッドストーンや領事の葛藤、自らの存在について悩むキーツ、どれも血肉の通った魅力的な人物です。戦闘が好きな人なら、大佐とシュライクの闘いを楽しめるかも。
 あーでも、頭イテェ(w
 凄い疲れるので、体力に余裕があるときに読みましょう。
 つーか、この千年後くらいの話なのか、エンディミリオン。それはそれで非常に興味惹かれるもんがあるなぁ。AIとかきっと絡んでくるんだろうし。むむぅ。
 あと、SFというジャンルの底力を見せ付けられたという思いも強いです。山形浩生氏の『新教養主義宣言』*1中で、SFの思考実験的なところの解説をたくさんしていましたが、このハイペリオンもそういう側面が強いような気がします。神とは何か、コンピューターが発達しすぎた社会はどうなるのか、SFは、そんなことをエンターテイメントと絡めて書ける数少ないジャンルなのではないでしょうか。まぁ、ほとんど理解できてないわけですが。解説されても愛の下りなんてわかんねーよ。これも『新教養主義宣言』ですが、その手の教養がないとわかったフリするだけのカッコワルイ男にしかなれないんですよねー。やれやれ。しゃあないですが、そっちの教養に動機ずけられる程度は低いしなー。どしたもんか。

*1:そいやこれのレビューも書いてねぇ。とほー。