インド日記

 小熊英二のインド日記。なんつーか、しみじみと、学者ってすごいなと思った。完全病人だこいつら。仕事病。
 内容とは関係ないけど、その病気にもっとも重くかかっているもののみが、それに関する名著を書けるという自体はなんか凄くアイロニカルだと思う。もっとも救われたいと思っている人が、他人を救う本を書けて、それで自分を救えない、みたいな構図があるような気がするのです。ニーチェとか、ウェーバーとか。もちろん、書いて救われる部分はあるのだろうけれども。
 内容の関係あるとこだと――伝統の創出の部分と、言葉の違いの辺りが面白かったかな。切腹という概念は江戸までは武士の価値観だったのが、広がって日本の伝統にされてしまって、太平洋戦争だと民衆も腹切った。かのように、伝統とかいわれてんのも、ホントに伝統か妖しいもんだぜ。っていうが前者。韓国におけるフェミニズムは映画に女性をどう映すかだが、インドにおけるフェミニズムは映画に女性が映るか、で全然違うものなんだけれども、共通の言葉フェミニズムがあるために、同じ話題をしてる気持ちに成る、という問題。他に言葉がないこと、お互いの状況を良く知らないことが、もちろんその背後にあるわけだけれど。まえこれまたすなふさんトコで見た気がするけど、言葉の定義をしっかりさせてから議論するというのは、学者でも下手すりゃできてないんだなぁ、としみじみ。悲観的にみりゃ、全ての言葉がそうだから無限後退でどうしようもないんだろうが、まぁ、そんなこといったら、なんにもならないが。これが後者。
 上に見出しみたいなのがついてるから、それを参考にちょろちょろ読むかな。