『雲のむこう、約束の場所』の受容のされ方

 せいるさんのところで、「雲のむこう、約束の場所 感想リンク」のリンク(http://www.oyasumi.org/)があって、ちょこちょこ見ていたら、なんか面白かったのですこし。 
 
 見終わった後、「だめだなぁ」とAHHさんと話し合っていたのですが、リンクを見ると思ったよりも評価が高い。んで、色々と眺めているうちに、経験と知識の問題かなぁ、という気がしてきました。
 http://d.hatena.ne.jp/ono_matope/20041128#1101663458
 一番ここは俺が見た中だと極端に詳しい例ですけれども、制作体制や公開の話も絡めて感想が書かれています。俺も「ほしのこえ」が一人製作で作られた金字塔的作品であることは知っていますが、知識はそれだけです。それがシネマライズでやられる意味は実感としてわかりませんし、一人で書く大変さもよーわかりません。
 で、わかれば、やっぱりそれなりの凄さはわかるようですし、恐らくそういうことに詳しい人も結構見ていたんでしょう。
 http://d.hatena.ne.jp/TheBAD/20041128
 http://d.hatena.ne.jp/atoz/20041128#p1
 そして、みんなが口を揃えて言うのが背景美術の美しさで、俺も好きでしたが、それほど心を打たれるほどのもんではなかったです。背景の美しさというと俺の中には岩井俊二が絶対的なポジションを占めてしまっていて、それに比べると相当劣って感じられたのです。しかし、きっとそれもこれまでアニメをしっかりと見てきて、それの背景美術がどんなもので、という情報がインプットされている人ならば、違った見方ができたのでしょう。
 で、こっちもそうなんでしょうねぇ。みんなそれを分かってて見に行ったようです。


 セミプロ一人でアニメを作るのは凄いことです。でも、それでできる作品の出来が多人数の作品を圧倒的に上回っている可能性は、低いです。最低のプロでもアマチュアよりはうまいということが基本的な現状であり、そのプロが数人がかりでつくりあげるものですから、基本的なスペックはプロの方が上でしょう。
 でも、一人で作るのは凄いことです。その「凄いこと」の上に見たらもっと楽しめた映画だったのでしょう。粋じゃなかったんだなぁ、俺。
 でもまー、この延長線上で考えるならば、「新海誠現象」というのはあんまり長続きしないはずですね。すくなくとも、ジブリみたいなポジションには絶対にならないし、がイナックスレベルにもならんでしょう。「一人で作る」というアニメーターの夢を背景にしている以上、その凄さが伝わらない相手には魅力は伝わらないし、それを除けば、さほど値打ちがある作品とも思えないし、基本的にわかりやすい魅力であるストーリーの評判はさほど良くないですから。
 ただまー、どうなるんだろう。この感じだと後一本くらいはそこそこ当たって、それ以降はさらに上がった技量で一人で作る路線に戻る、というのが一番ありそうなルートな気がします。あれだけエンドロールに名前をいれているということは「一人でやる」ことの延長線上にあったアニメだといえるんだろうし。