『ネット心中』渋井哲也

 『チャット中毒症』などでも知られるネット関係のルポをよく執筆してる方の本。ルポだから、あるいはルポなのに、ルポ部分にあまり魅力がないのが欠点ですが、それでもふーんと思わされるところは多々ありました。
 まず、宗教上の都合でいじめられたことがきっかけで、ネット心中に興味を持った話。単にオウムと関連付けられただけですけど。次に、『完全自殺マニュアル』が「死ぬこと」だけでなく「生きること」についても考えさせられた、という点。本に書いてある通り、「どんな情報が自殺を助長し、どんな情報が予防するのかは、その人の置かれた状況にもよるので、一様ではないことが良くわかる」ですね。児ポル法案はその意味でやっぱり駄目だと思います。多分、ニュースの方が効果あるしね。
 ほかにも、自殺サイトの管理人をしている人のインタビューを見ると、なんつーか、中々大変だなぁ、とかしみじみと思います。頑張ってほしいもんです。あと、あとがきはあんまりにパワーがあります。正直、このよーわからん社会では誰が突然自殺してもおかしくないというのにはなんか納得させられるものがあったり。心配です、色々。
 薄い割には読んだ価値があるな、と思わされる本でした。こういうのいいですね。