『青ひげ』

 ヴォガネットの作品。基本的に、ヴォガネットらしい言い回しや皮肉などをまったりと味わいながら進みます。時折、素晴らしいフレーズに輝きを感じることがありますが、基本的には退屈な読み物です。一人の純朴で才能のある少年が、その限界を知り、世界を知り、偏屈な老人になっていくまでの物語。もうヴォガネット読むのやめようかなぁ、とか思いながらぼんやりと読み進めていって――。
 最後が、感動的でした。自分が、なんで小説なんてものを書いていたのか、その理由を思い出させてくれた、そんな気がします。なんだか、本当にあの老人の人生の一片を感じさせられたようです。退屈があり、苦しみがあり、希望はない、少なくともそう思っていた――けれども、そうじゃなかったのかもしれない。それは希望でも、非顕在でもなんでもないけれども、けど偏屈な老人は、何かを残すことが出来た。
 人生って、わるくないのかも。そんな作品、かも。